公開から一月半位過ぎた平日の夕方。スクリーン7には40名位の客入りだ。
映画の話
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。
映画の感想
これは何だ?監督は「ゲット・アウト」「アス」のジョーダン・ピールと聞き、監督名以外は予備知識なしで、かなり期待をして見たが私には合わなかった。期待し過ぎた事が良くなかったのだろう。
物語は過去にタレント猿が起こした殺人事故を絡ませながら、主人公の兄妹が営む牧場で起こる怪現象で一儲けを目論むが事態は想像を超えた大変な事になる・・・・。と言うものだが、何かエピソードがぶつ切りな構成で、思わせぶりな演出が多く感情移入がし辛い。
本作のおかしなところは、あれだけの事件が起こっていながら、国も警察も軍隊もマスコミを動かず、ひたすら個人で事件を解決しようとする設定が難点に感じた。着眼点は面白いのにそれを活かせない事が歯がゆい。
以下ネタバレ注意
例えば本作と似た題材を扱った
スピルバーグ監督の
「
未知との遭遇」は、主人公たち個々のエピソードを積み重ねながら国や科学者、警察や軍隊を巻き込みながら大団円を迎える構成が優れた名作だ。それに対して本作はひたすら個人とその仲間だけで事件を解決しようと奮闘する姿に違和感を覚えた。
まぁ、それでもUFO好きから見るとオーソドックスな第一形態から一転、布状の第二形態のビジュアル表現は素晴らしかった。
「
ゲット・アウト」「
アス」と立て続けに2本のヒット作を打ち出したピール監督であるが、本作を見ると何となく
「
シックス・センンス」の
M・ナイト・シャマラン監督と同じ匂いを感じた。監督初期に凄い作品を撮ってしまうと、更に凄い作品を撮ろうと作品はスケールアップして行くが、アイディアは枯渇して陳腐な作品を羅列してしまう。ピールはまだ監督3本目なので未知数であるがシャマランと同じ道を歩まない事を願いたい。