芸術・デザイン部門に応募します。
公開から4日経った平日昼間。このシネコンで3番目に大きいチネ11には10数名程度と閑散とした客入りだ。
映画の話
スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、幼い頃から厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士ワンダーウーマンという、もうひとつの顔があった。1984年、人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。
映画の感想
前作「ワンダーウーマン」が自分的にイマイチだけに、何にも期待しないで拝見したが、これが超面白い!!とてもタイムリーな物語だけに未見の方は早めに鑑賞することをお勧めする。
幕開けはダイアナの子供時代から始まり、いきなりクライマックス級のレース描写を使い、インチキをした彼女に厳しい規律を教え込まれるシーンから、一気に時代は1984年になる。
84年と言えば、前年になるが「スーパーマンⅢ」(83)や、翌年には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(85)が公開されている。それくらいの時代と念頭に置いてみるとわかりやすいと思う。
時代は81年に発売したオリビア・ニュートン=ジョン「フィジカル」が大ヒットしたように、ワークアウトが全盛でカラフルなハイレグレオタードで、トレーニングに励む人々が映し出されている。
84年の幕開けは80年代の空気を再現したショッピングモールを舞台に、強盗団が子供を人質にした絶体絶命状態にワンダーウーマンが登場して、悪役たちをバッタバッタとなぎ倒す痛快な描写に痺れる。
このシーンは事件を目撃する一般市民のリアクション描写がたくさん入っている。丁度リチャード・ドナー版「スーパーマン」(78)とよく似た演出で、あまりの良いシーンの連続で思わず涙が出てしまった。
物語はこの強盗団が奪った、何でも願いの叶う「魔法の石」がカギとなり展開するのだが、この石が“石油王マックス”が手に入れた事で世界が大変な事になる。
といったシンプルな物語なのだが、このマックスはどう見てもトランプ大統領をメタファーというか、もろトランプそのもので超面白い。
以下ネタバレ注意
マックスを演じた俳優ペドロ・カスパルの容姿が、若い時のトランプにそっくりだ。彼は願いの叶う石を使い自分の野望や権力を手に入れようと暴走をはじめる。巨大な壁で人々を断絶させたり、やりたい放題をしたあげく、大統領まで操り、最終的には世界中を混乱に陥れ、世界戦争にまで発展してしまう。
もう物語がタイムリー過ぎる脚本の面白さが抜群だ。もし、この様な映画を北朝鮮で作っていたら監督、スタッフ、キャストは公開処刑されているだろう。
本作はワンダーウーマンというキャラクターを使い、現在のアメリカを映し鏡のように描いたタイムリーに作品なのだ。本作は今見ることに異議あり5年、10年経ったら面白さは半減する。きっとトランプが本作を見たら激怒すると思う。
本作は2020年最後の大傑作なのだが、唯一欠点は前作でもブログ書いたが、ワンダーウーマン役のガル・ガドットがイスラエル人という事は毎度納得できない。やはりアメリカ生まれのヒーローは米国人が演じる事が筋だと思う。
それとワンダーウーマンが空まで飛べる様になった事は驚いた。ラストカットで空飛ぶワンダーウーマンがクリストファー・リーヴ版「スーパーマン」みたいに、観客に向かってウィンクするかと思ったぞ!
それからエンドロールが始まっても直ぐに帰らないこと。
最後の最後にサプライズゲストが登場する。
多くの若い観客はわからないと思うが、伝説の女神がスクリーンに降臨するのだ。
最後に小ネタ
物語の途中のパーティー会場でBGMとして流れていたのは私の大好きな英国のバンド、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド「プレジャー・ドーム」だ。 プロデューサーのトレバー・ホーンがサンプリングサウンドを駆使して大ヒットさせたZTTレーベルを代表する曲だ。
追記
今、映画業界は1984年ブームだ。
一昨年公開されたジュブナイルスリラー「
サマー・オブ・84」
も題名の通りに1984年が舞台だ。
こちらもとても面白い作品なのでお勧めする。